ニューヨークタイムズのベストセラー本「THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法」(著:ダニエル・コイル)。
この本が主張するチームとは「2人以上」のことを指しています。つまり、
「自分が所属している集団はパフォーマンスを発揮できているのか」
を突いているわけです。
職場、家族、コミュニティなど、人は様々な集団に所属していますよね!
集団がパフォーマンスを発揮するには、「安心できる環境」がポイントです。
” なぜ安心な環境が必要か “
“どうすれば安心な環境をつくれるか ”
今回は「最強チームをつくる方法」を参考にして要約しましたので是非ご活用ください!
この本は「Google」や「PIXER」といった大企業のデータを参考に作られた本なので必見ですよ!
安心できる環境とは?
安心できる環境とは、「私はこの集団に所属してて良い」「自分はここにいて良い」と思える環境のことを指します。
こうした気持ちを持ったとき、集団に所属している人(個人)は、パフォーマンスを発揮できるようになります。
また裏を返せば、「私は発言していいのかな…」「自分はここにいていいのかな…」と思ってしまう環境は、安心できる環境ではない傾向にあります。
でも学校や職場などでこう思うこと、多いですよね…。
それでは、どうすれば安心できる環境を作られるのか。
その条件について見ていきたいと思います。
「最強チームをつくる方法」のポイントは次の2点です。
安心できる環境をつくる条件
チームがパフォーマンスを最大限に発揮できる条件は「安心できる環境」です。
心理的安全性がチームのパフォーマンスを向上させることは、「アンガーマネジメント」でも言われていましたよね!
安心できる環境を作るには、次の行動が必要とされています。
妨害者を除外する
集団が安心できる環境を作るには、メンバー内にいる妨害者を除外することが有効だとされています。
妨害者とは「攻撃的、怠惰的、愚痴的」のいずれかの特徴を持つ人のことを指します。
- 「攻撃的」
攻撃的な発言、反抗的な行動、圧力をかける、など - 「怠惰的」
怠惰な行動、遅刻する、など - 「愚痴的」
愚痴や文句を言う、周囲の雰囲気を暗くしてしまう、など
これらの特徴は、チームのパフォーマンスを30%〜40%も低下させる原因だと言われています。
また誘発性が強いため、集団内で「私もサボろう」「私も攻撃しよう」といった伝播も起こってしまう傾向にあるのです。
そこで、妨害者への対応方法を次にまとめました。
参照:「最強チームをつくる方法」
妨害者への対応方法③選
- 妨害者をチームのメンバーに選んではいけない
- もしチームに妨害者がいた場合は速やかに除外する
- いかに能力が高い人であっても妨害者であればチームから取り除く
これらは安心な環境をつくるための妨害者への対応方法とされています。
参照:最強チームの作り方
しかし、たとえ妨害者の特徴があったとしても「取り除くなんて難しい!」というケースも考えられますよね。
そこでポイントとして挙げられるのが「中和行動」です。
中和行動を取る
中和行動とは、” 場の空気を和ませる行動 “のことです。
妨害者によって引き起こされる、集団のパフォーマンス低下を防ぐことができます。
場の空気を和ませることは、難しく思えますが大胆な行動を取る必要はありません。
少し微笑む、身振り手振りでサインを送るといった、小さなアクションだけでも場の空気は良くなると言われています。
場の空気を中和できる人がいると安心できる環境に近づきます!
場の空気を和ませる中和行動はとても魅力的ですよね。
ここでは、中和行動の例を一つご紹介しようと思います。
発言権を全員に与える(中和行動)
誰でも発言できる状況を作ることは、安心できる環境作りに繋がりますが、その逆として良くない例えが次です。
「権力者しか発言してはいけない」
「リーダーしか発言してはいけない」
こういった状況では、集団にいる個人が「私はここに必要とされていないのではないだろうか」と感じてしまう原因となります。
この場合の打開策は、「○○さんの意見も聞いてみませんか?」といったようにメンバーの意見を聞く環境に変えることです。
つまり、発言権を全員に与えるのです。
また意見を聞いているときは、決して話を遮らないようにする傾聴力もポイントに挙げられます。
妨害者の行動を中和できる人物はチームにとって重要とされています!
「最強チームをつくる方法」の要点を深めるポイント
” 最強チームをつくること “
すなわち、集団に所属する個人がパフォーマンスを発揮するポイントは、
「安心な環境をつくること」
「必要であれば中和行動を取ること」
でした。
これらの効果をさらに深める方法が「帰属意識」となります。
帰属意識を持つ
帰属意識とは、「集団の一員であるという意識や感覚」を意味します。
帰属意識が高い人は、所属する集団に対して愛着や興味、関心、一体感などを強く持つ傾向があります。
親密な交流を取る
集団の人と雑談するなど、親密な交流ができるプライベートな関係へと発展させると帰属意識が高まります。
コミュニケーションに詰まった場合は、「あなたはチームにいていい」「あなたはあなたのままでいいんだよ」という旨の内容を伝えると良いです。
また、相手と親密な関係を目指すなら「相手の近くにいること」がポイントとなります。(距離は6m以内が理想)
例えば、「同じ部屋」「隣の席」といったシチュエーションが該当します。
物理的な距離によってコミュニケーションの量(親密さ)が増すのです!
個人を尊重する
名前を覚えたり、「ちゃんと自分を見てくれている」という感覚を相手に与えることによって、個人を尊重する意識を持つと帰属意識が高まります。
相手の未来を約束する
「これからもあなたは大丈夫だよ」「ずっと自分らしくいていいんだよ」といった言葉を日に日に言い続けて相手の未来を約束すると、帰属意識が高まります。
例えば、「私はここにいていいのだろうか」と思い込んでいる人に伝えると尚、帰属意識の高まりやすいとされています。
その言葉が届いたとき、その個人は自分の力を発揮しやすくなるのです。
これらの要点を活用して帰属意識を高めることは、安心できる環境作りに繋がるのです!
【最強チームをつくる方法】決してカリスマなリーダーを必要としない
ここまでの内容で気付いた方もいると思いますが、最強チームをつくるにあたり、決してカリスマ性のあるリーダーを必要としません。
すなわち、安心できる環境作りはメンバー同士で形成できるのです。
誰でも「安心できる環境」を作れるのですね!
参照:最強チームを作る方法
【最強チームをつくる方法】リーダーがやるべき事
これまでの内容は、メンバーとリーダーがやるべき事でしたが、ここではリーダーこそがやるべき事を紹介します。
安心できる環境、リーダーはどうあるべきなのでしょうかね。
リーダーは権威になってはいけない
リーダーはメンバーから「偉い人」だと思わせないことが重要だと言われています。
最も好かれたリーダーは気さくなタイプ
実際にアメリカ軍隊で行われたアンケートでは、「好きな上司は誰か?」という内容が行われました。
最も票を集められた上司は、仕事ができる成績優秀な上司ではなく「気さくなタイプの上司」でした。
じつはここで選ばれた「気さくなタイプの上司」は、部下に好かれるためにある工夫をしていたのです。
- 部下に対して自分のことを階級や肩書きで呼ばせなかった
- 部下に対して命令するのではなく、意見交換を重視していた
部下に対して自分のことを階級や肩書きで呼ばせなかった
気さくなタイプの上司は、名前やニックネームで自分のことを呼ぶようにしていたのです。
部下に対して命令するのではなく、意見交換を重視していた
「気さくなタイプの上司」は過去に、
権威者の命令だけで動くチームは、チームのミスを防げないことを学んでいました。
最高のチームをつくるには、建設的な反対意見を取り入れることが重要
引用:最強チームをつくる方法
反対意見をチームに取り入れるときのポイントは、「建設的な反対意見か、それとも妨害者が起こした反対意見なのか」を見極めることです。
見極めるポイントは、
- 常に攻撃的なことを言っている人物であるかどうか
- 意見に全て同意してしまうイエスマンであるかどうか
などが挙げられます。
もし個人の意見が間違っていた場合は、それを教えてもらう時間(ブレイントラスト)を設けると建設的です。
ピクサーが行っているブレイントラスト
「トイストーリー」や「モンスターズインク」など、有名アニメーションを手がける制作会社「ピクサー(PIXER)」は、ブレイントラストの時間を設けています。
ピクサーが行っているブレイントラストとは、” 未完成のアニメーションを他の人に見せて意見をもらう “というものです。
「曲の尺が長すぎではないか?」
「キャラクターのフォルムはこれで良いのか?」
ピクサーは、こうしたチーム内の反対意見を上手く取捨選択できたからこそ、数々の名作を生み出せたと言われています。
参考:「最強チームをつくる方法」
リーダーは権威的にならず、ブレイントラストの時間を設けて反対意見を上手く取り入れると、チームにとって建設的ですね!
リーダーは厳しさと穏やかさを併せ持つこと
反対意見を言うときも勿論、安心な環境を保たないといけません。
反対意見は、攻撃的でなければ歓迎し、攻撃的であればその場から退場してもらう。こうしたスタンスで安心できる環境を保つと良いでしょう。
また反対意見を主張するときは、穏やかに発言するようにルール付けて、風紀を保つことが大切です。
感情的にならないことがポイントですね!
リーダーは自分の弱さをメンバーに見せること
リーダーが自分の弱い部分を見せると、メンバーがその部分を補おうとして協力的になります。
実は集団において、「リーダー=強い人」というイメージを変える必要があるのです。
リーダーが「自分は強い人である」というイメージを保っていると、集団にいる個人が「自分(の意見)なんて集団に必要ないかも…」と思い込んでしまう事があります。
そうなった場合、集団にいる個人は「リーダーに全て任せたらいい」「リーダーを頼ろう」といった考えが浮かんでしまい、チーム全体としてのパフォーマンスを発揮できなくなるのです。
とはいえ基本的に、人は自分の弱さを見せたくない傾向にありますよね。
これを解決するポイントは、集団にいる個人(メンバー)も自分の弱さを他の人に見せることです。すると相互的に解決することができます。
目標や理念は繰り返し伝えることが重要
集団が何を目指していて、何がしたいかについては、メンバーに繰り返し伝えることが重要です。
また、目標や理念だけでなく、リーダーの弱さについても、メンバーに繰り返し伝えた方が効果が表れます。
” なぜ繰り返し伝えることが重要なのか “
実は、企業に所属しているメンバーの多くは、集団の目標や理念を把握していないことが判明したからです。
企業600社にアンケートを送った実験があります。
アンケートの内容は「社員の何%が企業理念や目標を理解しているか」であり、その結果、会社の理念を把握していた社員はわずか2%でした。
「自分が所属しているチームの目標や方向性を理解せずに、目の前の業務をこなしていた」という結果が表れたのです。
目標や理念を繰り返し伝えることが重要です!
集団に繰り返し何を伝えるのか?
- 自分の信条を伝える(どこに向かっているのか、なぜ向かっているのか、)
- 自分の物語を伝える
「自分はこんなことがあって今がある」「こういう歴史があって、こんなことを考えている」
自分の現在、過去、未来を繰り返し伝えることが大事です。(今まで何をしてきたか、今何をしているか、これから何をするか)
これらをほとんど毎日伝えていくと、集団は方向性を理解することができるようになるのです。
ただし、まずはチームが安心できる環境作りを最優先として、チームにビジョンを伝えるのは最後となります。
「集団は、何か目標を掲げる前に、何よりもまず、安心できる環境をつくること」
参照:「最強チームをつくる方法」
【最強チームをつくる方法】安心できる環境が生み出した実験結果
書籍「最強チームをつくる方法」では、安心できる環境が生む効果の実験があります。
「大人のビジネスマン」チームと「幼稚園児」チームで、どちらがモノを高く積み上げられるかを競った実験です。勝者は「幼稚園児」チームでした。
ビジネスマンたちの敗因は、「誰がリーダーとして発言権があり、誰が最も良いプランを立てられるかなどを言い合ったこと」です。
こうした意見交換はごく自然な光景ですが、相互作用が上手く働かないと実は全く機能しないことが判明したのです。
方や、幼稚園児チームには言い争いはなく、仲良く安心な環境で個々の力が発揮されたというわけです。
この実験は、「安心できる環境」がいかにチームのパフォーマンスを発揮させるかを示したのです!
【最強チームをつくる方法】要約まとめ
それでは最後に、書籍「最強チームをつくる方法」の要約ポイントをまとめます。
職場や家庭、誰もが集団に所属していますよね!
安心できる環境作り、個人のパフォーマンスが発揮されることを願います!