2013年に初版され、シリーズ売り上げ130万部を誇る書籍「伝え方が9割」。
プロのコピーライターによる「伝え方」の本です。
とはいえ、コピーライターだけに向けられた内容ではなく、多くの人が使える伝え方の本として提供されています。
» 「伝え方が9割」それででは「伝え方が9割」の要約ポイントを紹介していきます。
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著者:佐々木圭一さんのライター話
著者の佐々木圭一さんは、国内や海外で実績がある一流のコピーライター。
広告キャッチフレーズや商品タイトルなどで、人の心を掴むコトバを手がける伝え方のプロです。
しかし、本人はもともとコピーライターを目指していたわけではなく、配属部署がたまたまコピーライティングだったようです。
全くの未経験から始まり、作成した書類はほとんどボツ…といった日々が続きます。
そして、もう仕事を辞めようかと考えたとき、「まだやれることがあるのではないか」と思い、人の心を掴むワードを調べ始めることに。
文学書や広告、新書などから、素晴らしいと思う言葉を書き集めたのです。
そして、「感動する言葉の作り方には傾向や法則があるのではないか」と、仮説を立てるようになったとき人生は一変したそうです。
見つけた法則を利用して伝わる言葉を作ると、高確率でヒットワードを生み出し、国内だけにとどまらず国外でも受賞され、「伝え方が9割」を執筆する次第となったようです。
それでは、未経験から国外受賞に至る、伝え方の秘訣を見ていきましょう。
【伝え方の手順】
「伝え方が9割」のポイント1つ目は「伝え方の手順」です。
- 思ったことをそのまま言葉にしない
- 相手のメリットを考える
- お互いのメリットを一致させる
1.思ったことをそのまま言葉にしない
思ったことをそのまま言葉にすると、相手の返事はYESよりNOの傾向が高いです。
2.相手のメリットを考える
次に「相手のメリット」を考えます。
相手の特徴や傾向を把握しておくと、相手のメリットに繋がりやすくなります。とくに好みなものは知っておくと良いでしょう。
3.自分と相手のメリットを一致させる
そして最後に「自分と相手のメリットを一致」させます。
伝え方の実践(YESをもらう)
「デートの一例」があります。(YESの返事をもらうことが目標です)
×(注意)「デートしてください!おねがいします!」
もちろん、「思ったことをそのまま言葉にする」とYESの傾向は低いです。

ここで「伝え方の手順」を踏んでみましょう。
- 自分が思ったことをそのまま言葉にしない
「デートしてください!」 - 相手のメリットを考える
(相手はフレンチが好きなようだ) - メリットを一致させる
自分:デートがしたい
相手:フレンチが好き
A.「新しいフランス料理店がオープンしましたね。このあたり道に詳しいので良ければ一緒にどうですか?」
お互いのメリットが一致する伝え方は、YESの返事をもらいやすくなります。
【人を動かす伝え方】
「伝え方が9割」には、相手に行動を促したり誘導させる、「人を動かす伝え方」があります。
- 相手のメリットになることを伝える
- 相手の嫌いなことで避けさせる
- 相手に決断ではなく比較させる
- 相手を承認する
- 相手と共同する
相手のメリットになることを伝える

ファストフード店の例
料理提供の遅れをお客様に伝える場合です。このとき、相手のメリットになることを一言つけ加えます。
「提供が遅れてしまい申し訳ございません」
→「ただいま出来立てをご用意しておりますので、3分ほどお待ちいただけますか?」
「出来立て」というワードを使い、「たった数分で出来立てを食べられる」というメリットを相手に感じさせる伝え方です。
飛行機内の例
「後部座席の人は前座席の人が降りるまで待たなければならない状況」でのアナウンスです。
「後部座席にお乗りの方は少々お待ちください」
→◯「後部座席にお乗りの方はごゆっくりお仕度ください」
(相手の状況をメリットに寄せて伝えている)
このアナウンスを聞いた後部座席の人へ、次のようにメリットを感じてもらう狙いがあります。
「早く降りたかったが、そういえば今はゆっくりできる時間でもあるか、それにしても前座席だったらバタバタで大変だったな〜」
と、相手は自分の状況をメリットに寄せて考えやすくなります。
これらのように、相手の状況のなかでメリットを見出して伝えることができれば、相手は自分の状況をメリットに寄せて考えられるようになるのです。
相手の嫌いなことで避けさせる
相手の嫌いなコトによって、行動を制限させる伝え方です。
たとえば、違法駐輪をやめさせる場合は次の注意書きが効果的です。
「ここに自転車を自由にお捨てください」
「ここに自転車を停めたら誰かに持っていかれてしまう」と考えさせ、安易に駐輪ができなくなるでしょう。
相手にとってのデメリットを伝えると、相手の行動が制限されていきます。
相手に決断ではなく比較させる
決断は負担がかかる行為です。
よって、負担を軽くするために、決断ではなく比較をさせます。
「カラオケ行きますか?」
(YES or NO で決断させる伝え方)
「カラオケ、金曜日か土曜日どっちにしますか?」
(A or B で比較させる伝え方)
決断させる「YES or NO」ではなく、
比較させる「A or B」にすると相手の負担が軽くなり、YESの確率が上がります。
相手を承認する
人は誰でも承認されたい欲求があります。
(褒められたい、感謝されたい、「いいね」をつけられたい等)
人は承認されてからお願いされると、断りづらくなります。
たとえば、「いつものコーヒーをお願い」だけだと、欲求を思ったまま口に出していることになります。
→「いつもおいしいコーヒーをありがとう。今日も頼んでいいですか?」
◎(相手を承認してから頼んでいる)
相手を承認してからお願いすると、YESの返事をもらいやすくなります。
相手と共同する
共同性をもたせる伝え方は、YESの返事がもらいやすくなります。
「私も一緒に手伝いますので、Aさんも一緒にやりませんか?」
次は、「伝わる言葉の作り方」です。
【伝わる言葉の作り方】
» 「伝え方が9割」「相手を動かす伝え方」の成功率が高まる「伝わる言葉の作り方」です。
- サプライズ法
- ギャップ法
- 赤裸々法
- リピート法
- クライマックス法
サプライズ法
相手に寄り添うサプライズワードのひとつにとして「そうだ、」の一言があります。
たとえば、広告のキャッチコピーとして、「そうだ、」を使うと以下になります。
「京都へ行こう!」
→「そうだ、京都へ行こう!」
「そうだ、」は、一言にして強力なコトバです。
このときの「そうだ、」は、多くの人が潜在的に抱える「京都に行きたい」という気持ちに寄り添う効果があります。
京都は日本の観光地として「旅行で行ったきり」など、行きたい気持ちがありながら行く機会を見出せず、常に日本人の潜在意識に抱えているものです。
ギャップ法
シンプルに「答えはBだ」と伝えるより、「答えはAではなくBだ」といった「〜ではなく」を加えた方がより伝わります。
たとえば、オバマ元大統領の就任時に使われています。
「私の勝利ではない。あなた方(民衆)の勝利だ。」
(このとき民衆は歓喜を上げました)
要点と反対の意味のコトバを前にもってくることで、誰でもギャップワードをつくることができます。
要点:このパスタはおいしい
→発言:今までのパスタがまずいと思えるほど、このパスタはおいしい
「AではなくBだ」の言い方は、より相手に伝わります。
赤裸々法
自分がそのとき感じた「カラダの反応」を加える伝え方です。
「良い映画だった」
→「まばたきするのが勿体ないくらい良い映画だった」
「きっと美麗な映像だったのだろう」と強く相手に想像させる伝え方です。
体の反応は、人間同士で共感しやすいのです。
リピート法
同じワードを繰り返して強調する伝え方です。
走って走り続けた
→走って、走って、走って走り続けた
ちなみにヒットソングの歌詞には、同じワードを繰り返すリピート法が多く用いられています。
クライマックス法
言葉を強調させる伝え方です。
「ここだけの話ですが、」
「これだけは覚えてほしい」
「ここが重要なポイントです」
【要約まとめ】「伝え方が9割」
「伝える手順」「相手を動かす伝え方」「伝わる言葉の作り方」の要約まとめです。
「伝え方が9割」全体まとめ
- 「伝える手順」を伝え方のベースとする
- 「相手を動かす伝え方」をベースとして理解する
- 「伝わる言葉の作り方」によって,相手に効果的に伝わるようになる
(青字タップで飛ぶ)
- 思ったことをそのまま言葉にしない
- 相手のメリットを考える
- お互いのメリットを一致させる
- 相手のメリットになることを伝える
- 相手の嫌いなことで避けさせる
- 相手に決断ではなく比較させる
- 相手を承認する
- 相手と共同する
- サプライズ法
- ギャップ法
- 体の反応
- リピート法
- クライマックス法
著者は「伝え方が9割」をレシピ本のように扱うことを推奨しています。
誰でもレシピ通り作れば一定のクオリティで完成することから、伝え方も同様レシピ通りに作ると良いという見解です。
伝え方のレシピ本「伝え方が9割」でした。
マンガ版「伝え方が9割」