2013年に初版され、シリーズ売り上げ130万部を誇る書籍「伝え方が9割」。
プロのコピーライターによる「伝え方」の本ですが、コピーライターだけではなく多くの人が活用できる伝え方の本として注目されています。

伝え方が9割」
「伝え方が9割」を要約するとポイントは3つです。
- ①「伝える手順」を伝え方のベースとする
- ②「相手を動かす伝え方」を活用する
- ③「伝わる言葉の作り方」によって効果的に伝える
それでは「伝え方が9割」の要約ポイントをそれぞれ見ていきましょう。
【伝え方が9割】「伝え方の手順」

書籍「伝え方が9割」におけるポイントの1つ目は「伝え方の手順」です。
(1)思ったことをそのまま言葉にしない
思ったことをそのまま言葉にすると、相手の返事はYESよりNOの傾向が高くなってしまいます。
YESの返事をもらうためには、相手のメリットに注目です。
(2)相手のメリットを考える
次は相手のメリットになることを考えます。
相手の特徴や傾向を把握しておくと、相手のメリットに繋がりやすくなります。とくに好みなものは知っておくと良いでしょう。
(3)自分と相手のメリットを一致させる
そして最後は、自分と相手のメリットを一致させることです。
お互いにメリットがあることを伝えると、YESの返事をもらいやすくなるでしょう。
以上の3つが伝え方の基本となります。
それでは次のステップ「人を動かす伝え方」を見ていきましょう。
【伝え方が9割】人を動かす伝え方

「伝え方が9割」が紹介する「人を動かす伝え方」には、相手に行動を促したり誘導させる効果があります。
「人を動かす伝え方」相手のメリットになることを伝える
「伝え方が9割」が紹介している「相手にメリットを伝える例」を見てみましょう。
ファストフード店と飛行機の例があります。
(1)ファストフード店の例

「ファストフード店で接客中、料理提供の遅れをお客様に伝える」
こうした状況における伝え方は、相手にとってのメリットを付け加えることです。
メリットなし→「提供が遅れてしまい申し訳ございません」
メリットあり→「ただいま出来立てをご用意しておりますので、3分ほどお待ちいただけますか?」
「出来立て」というワードを使い、「たった数分で出来立てを食べられる」というメリットを相手に感じさせる伝え方です。
(2)飛行機内の例

「前座席の人が降りるまで待たなければならないことを後部座席の人へ伝える飛行機内のアナウンス」
このような状況でも相手にとってのメリットを付け加えてみましょう。
メリットなし→「後部座席にお乗りの方は少々お待ちください」
メリットあり→「後部座席にお乗りの方はごゆっくりお仕度ください」
(相手の状況にメリットを見出して伝えている)
後部座席の人はメリットが付いたアナウンスを聞いたことで、今の状況をメリットに寄せて考えやすくなります。
(例)アナウンスを聞いた後部座席の乗客
「飛行機から早く降りたかったけど今はゆっくり準備できる時間だと考えていいか。それにしても前座席だったらバタバタで大変だったな〜」
これらのように、相手の状況のなかでメリットを見出して伝えることができれば、相手は自分の状況をメリットに寄せて考えられるようになるのです。
「人を動かす伝え方」相手の嫌いなことで避けさせる

相手の嫌いなコトによって、行動を制限させる伝え方です。
「伝え方が9割」では違法駐輪をやめさせる場合、次のような注意書きが効果的だと例を挙げています。
「ここに自転車を自由にお捨てください」
注意書きを見た人に対して、「ここに自転車を停めたら誰かに持っていかれてしまう」と考えさせることで、安易に駐輪できない働きがあります。
相手のデメリットになることを伝えると、相手の行動が制限されていきます。
「人を動かす伝え方」相手に決断ではなく比較させる

相手にとって「決断」は負担がかかる行為です。
よって、負担を軽くするためには、決断ではなく比較をさせます。
→「週末の飲み会、金曜日か土曜日どちらがいいですか?」
→「週末の飲み会、参加されますか?」
決断(YES or NO)ではなく、比較(A or B)にすると相手の負担が軽くなり、YES返事の傾向が高くなります。
「人を動かす伝え方」相手を承認する

人は誰でも承認されたい欲求があります。
(褒められたい、感謝されたい、「いいね」と言われたい等)
「伝え方が9割」によると、人は承認されてからお願いされると断りづらくなる傾向があるようです。
たとえば「いつものコーヒーをお願いしていいですか?」という伝え方で、YESの返事をもらいやすくするにはどうすれば良いでしょうか。
それは相手を承認してから伝えることです。
→「いつもおいしいコーヒーをありがとう。今日もお願いしていいですか?」
相手を承認してからお願いすると、YESの返事をもらいやすくなります。
「人を動かす伝え方」相手と共同する

共同性をもたせる伝え方は、YESの返事がもらいやすくなります。
「私も一緒に手伝いますので、○○さんも一緒にやりませんか?」
以上、「人を動かす伝え方」5つでした。(書籍では他にもあります)
そして次は、「人を動かす伝え方」の成功率を高める「伝わる言葉の作り方」です。
【伝え方が9割】伝わる言葉の作り方

» 「伝え方が9割」
「人を動かす伝え方」の成功率が高まる「伝わる言葉の作り方」です。(ここでは5つ紹介します)
伝わる言葉の作り方「サプライズ法」
「伝え方が9割」のサプライズ法とは、相手に寄り添うサプライズワードを活用することです。
それではサプライズワードのひとつ、「そうだ、」を使った広告のキャッチコピーがあります。
「京都へ行こう!」
→「そうだ、京都へ行こう!」
「そうだ、」は一言にして強力なコトバです。
このときの「そうだ、」は、多くの人が潜在的に抱える「京都に行きたい」という気持ちに寄り添う効果があります。
京都へ行くことは、行きたい気持ちがありながら行く機会を見出せず、常に日本人が潜在意識として抱えているものと言われています。
(日本の観光地として「旅行でしか行ったことがない」など)
伝わる言葉の作り方「ギャップ法」
「伝え方が9割」のギャップ法とは、「〜ではなく」を加えた伝え方です。
「答えはBだ」とシンプルに伝えるより、「AではなくBだ」と比較した方が効果的に伝わります。
米国オバマ元大統領の就任時に使われていた例です。
「私の勝利ではない。あなた方(民衆)の勝利だ。」
(このとき民衆は歓喜を上げた)
ポイントは、要点の言葉と反対の意味をもつ言葉を活用することです。
それさえできれば、誰でもギャップワードをつくることができます。
要点の言葉
→このパスタはおいしい
要点と反対の意味を加える
→今までのパスタが「まずい」と思えるほど、このパスタは「おいしい」
(「おいしい↔︎まずい」と反対の意味の言葉)
「AではなくBだ」の言い方は、より相手に伝わる効果があります。
伝わる言葉の作り方「赤裸々法」
「伝え方が9割」の赤裸々法とは、自分が体験した「体の反応」を加えた伝え方です。
要点を伝える
→「良い映画だった」
体の反応を加えて伝える
→「まばたきするのが勿体ないくらい良い映画だった」
体の反応を加えた伝え方は、相手に「きっと美麗な映像で、興味深いコンテンツだったのだろう」と想像させる効果があります。
体の反応は、人間同士で共感する傾向があるのです。
伝わる言葉の作り方「リピート法」
「伝え方が9割」のリピート法とは、同じ言葉を繰り返して強調する伝え方です。
走って走り続けた
→走って、走って、走って走り続けた
ヒットソングの歌詞には、同じ言葉を繰り返すリピート法が多く用いられています。
伝わる言葉の作り方「クライマックス法」
「伝え方が9割」のクライマックス法とは、言葉を強調させる伝え方です。
「ここだけの話ですが、」
「これだけは覚えてほしい」
「ここが重要なポイントです」
「伝え方が9割」【要約まとめ】
最後に、「伝え方が9割」の要約ポイントをまとめます。
「伝え方が9割」要約まとめ
- 「伝える手順」を伝え方のベースとする
- 「相手を動かす伝え方」をベースとして理解する
- 「伝わる言葉の作り方」によって、相手に効果的に伝わるようになる
「伝える手順」「相手を動かす伝え方」「伝わる言葉の作り方」です。
- 思ったことをそのまま言葉にしない
- 相手のメリットを考える
- お互いのメリットを一致させる
- 相手のメリットになることを伝える
- 相手の嫌いなことで避けさせる
- 相手に決断ではなく比較させる
- 相手を承認する
- 相手と共同する
- サプライズ法
- ギャップ法
- 体の反応
- リピート法
- クライマックス法
著者は「伝え方が9割」をレシピ本のように扱うことを推奨しています。
誰でもレシピ通り作れば一定のクオリティで完成することから、伝え方も同様レシピ通りに作ると良いという見解です。
伝え方のレシピ本「伝え方が9割」でした。
マンガ版「伝え方が9割」
[追記]著者:佐々木圭一さんのライター話
著者の佐々木圭一さんは、国内や海外で実績がある一流のコピーライター。広告キャッチフレーズや商品タイトルなどで、人の心を掴むコトバを手がける伝え方のプロといえるでしょう。
しかし、本人はもともとコピーライターを目指していたわけではなく、配属部署がたまたまコピーライティングだったようです。全くの未経験から始めて作成書類が没となる日々が続き、仕事を辞めようと考えたときに「まだやれることがあるのでは」と思い、人の心を掴むワードを調べ始めることに。
文学書や広告、新書などから素晴らしいと思う言葉を書き集め、「感動する言葉の作り方には傾向や法則があるのではないか」と仮説を立てたときに人生が一変。
見つけた法則を利用して伝わる言葉を作ると高確率でヒットワードが生み出され、国外でも受賞し、のちに「伝え方が9割」を執筆することに——。
未経験から国外受賞に至る、伝え方の秘訣が記された書籍のようですね。