発行部数50万部を突破した書籍「繊細さんの本」について。
著者は心理カウンセラーの武田友紀さんです。
この本が出版されたところ、多くの読者が「HSP」という言葉を目の当たりにしました。
繊細な傾向がある人は、心理学でHSPと捉えられています。
この言葉は1996年、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって考案されました。
(HSP = Highly Sensitive Person:高度に敏感な人)
HSPを持つ人は5人に1人とされ、性格や気質ではなく、生まれつきに備わるようです。
「繊細さんの本」では、敏感体質な人を「繊細さん」と優しいテイストで呼ばれています。
繊細さんは感受性が高いためストレスを感じやすく、周囲への気遣い、人間関係がとにかく敏感です。
ところが、繊細なことは『個性』です。
そのことを大きく主張している「繊細さんの本」をご紹介します。

「繊細さん」の本
それでは内容を見ていきましょう。
自分が「繊細さん」かどうかをチェック

繊細な人は、自分が繊細である認識が低くなりがちです。
そこで、自分が繊細さんかどうかをチェックする項目があります。
参照:「繊細さん」の本
- 人といると疲れやすい
- 他人の雑さが気になる
- 周りの環境から過剰に刺激を受けやすい
- 身近に機嫌の悪い人がいると緊張する
- 気遣いしすぎて仕事に時間がかかる
- 他の人よりも深く考えることが多い
- 他人の痛みにも敏感に反応する
- 些細な変化を敏感に察知
- 知的好奇心が高い
上の特徴に当てはまる人は繊細さんの傾向があります。
次に、自分が「繊細さん」なのかチェックする項目を見てみましょう。
- 他の人よりも深く考えることが多い
- 音や光など、周りの環境から過剰に刺激を受けやすい
- 他人の痛みにも敏感に反応する
- 些細な変化を敏感に察知する
(いくつ当てはまったでしょうか?)
当てはまった結果について、著者は次のように主張しています。
「4つ全てに当てはまると繊細さんといえる」
「一つでも当てはまらない場合、おそらく繊細さんではない」
参照:日本テレビ「世界一受けたい授業」HSP専門カウンセラー武田友紀
隠れ繊細さん
とはいえ、ひと目だけでは分からない「隠れ繊細さん」がいることも著者の主張にあります。
たとえば、会社や学校ではテキパキと行動していても、家に帰って一人になると、考え事をしすぎたり、自分の発言に思い詰めてしまう傾向がある人です。
ストレスを感じやすい繊細さんには、些細なことだと自分でも分かっているにかかわらず、すごく落ち込んでしまうことがあるのです。

パッと見ただけで分からない「隠れ繊細さん」もいるのですね。

「繊細さんの本」が人気な理由のひとつは、HSPかどうかに関わらず、多くの人に当てはまる悩みのパターンと対処法が書かれていることにあります。
繊細さんと非繊細さん

また、繊細さんとは対照的に位置しているのが「非繊細さん」です。
人間関係では「他人を自分のように思ってしまう傾向」がありますが、繊細さんと非繊細さんはお互いの存在(違い)を理解すると、自分自身へのストレスが軽減されます。
たとえば繊細さんの場合、「なぜ相手はこんな発言をするのだろう」と思ったとき、「この人は非繊細さんかもしれない」と認識することによって、自分自身がもつ安心感を高められるのです。
「繊細さん」は自分を解放するとよい

繊細さんがついつい陥りがちな考え方から、自分を解放するポイントです。
また、こうした悩みへの対処法は非繊細さんにも役立ちます。
誘いや頼み事を断っていい
繊細さんは誘いを受けたりお願いをされたとき、「出来なくはないかな…」と思って引き受けてしまう傾向があります。
このとき、つい「断ったら嫌われてしまう」「空気を読めない人と思われる」と困窮しがちです。ここでのポイントは、自分の素を出すことです。
繊細さんは、人前で良い人でいようと思う傾向があるため、『頼み事を断らない人を求める人』が自分の周囲(人間関係)にどんどん集まってしまいがちです。
そうした事態を避けるべく、自分の素を出して、嫌なことは断るように自分を変えていきます。
すると自分の人間関係には、「それでも好意的な関心がある人」だけ残っていきます。つまり、自分の素を出すことは人間関係が適切な形に入れ替わるのです。
苦手な人やモノを嫌っていい
「あの人はどこか苦手かも・・・」といった「嫌いの感覚」は防衛本能です。
しかし繊細さんは、自分が苦手と思う人に対して苦手意識を隠そうとするため、普段よりも笑顔を作ってしまう傾向があります。
そこで、相手のことが苦手かどうかは、第一印象を参考にすると良いです。
» 繊細さんが「自分のまま」で生きる本相手の機嫌がなぜ悪いかを確認していい
繊細さんは人を察知する能力が高いですが、ときには相手を誤解してしまうケースもあります。
たとえば相手の機嫌が良くないとき、気持ちを察しすぎて「もしかしたら自分のせいかも?」と気負ってしまいます。
そうした場合、相手の気持ちを確認することで、思い込みから解放されます。
「何かありましたか?」
「私が淹れたコーヒー少し濃かったですか?」
「どうかなさいましたか?」
自分のせいではないことを確認すると、思い詰めた悩みから解放されます。
困ってそうな人を助けるときはまず見守る
繊細さんは相手から頼まれもせず、助けに入る傾向があります。
しかし、相手が望んだ助け方を必ずできるとは限りません。ときに助ける行動は空回りに終わり、ショックを受けてしまうことも。
そうしたケースを念頭において、困っている人を見たときに助けるかどうかは、ひとまず待って見守ると良いです。
見守っているうちに相手が、助けを必要とするSOSを出していた場合に助けに入ります。すると適切な行動も取りやすくなるのです。
ちょっとしたことでも頼っていい
5人に1人の割合とされる繊細さんは、人に頼る発想が欠ける傾向にあります。
そこで、人に頼れるようになる3つの行動があります。
- 頼る発想を持つ
- 推測せず確認する
- 信じて任せる
1.頼る発想を持つ
人に頼る発想は少しずつ持つと良いです。
「ちょっとお願い」など、ひとこと前に置くと人に頼りやすくなります。
2.推測せず確認する
たとえば、「あの人は依頼を果たせるだろうか」といった推測だけに留まらず、「◯◯さん、順調そうですか?」と実際に確認を取ると人に頼りやすくなります。
3.信じて任せる
いちど任せたことに対して、むやみに確認や気遣いをしないようにします。
めんどうな人やコトから離れていい
学校や職場、家族などの人間関係や業務において、辛さが限界を超えそうなときは距離を置き、離れたほうが良いと「繊細さんの本」では主張しています。
※マイルールを作ると効果的
繊細さんは5人に1人の割合とされるため、社会性を保つために多数側の行動に合わせてしまう傾向があります。
そのため、行動の半分以上は自動的に行ってしまう傾向があるようです。
解決策として、「このパターンならこうする」といったマイルールを作ると良いです。
「繊細さん」の仕事ペース

繊細さんは仕事内容が遅いようにみられがちですが、長期的にみると非繊細さんより早い傾向にあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
- 長所:作業途中でもミスを修正するように、丁寧で細かに作業を進める傾向があります。そのため、最終的には完成度の高いクオリティが仕上がりやすいです。
- 短所:仕事が遅くみられることもあります。
- 長所:仕事において要領やタスクを早くこなせる傾向があります。
- 短所:作業の荒さが目立ってしまうこともあり、間違いを埋める作業が合わさってしまうと、結果的に繊細さんより時間のかかる場合があります。
繊細さんと非繊細さん、どちらにも長所が見られますね。
「繊細さん」はマルチタスクが苦手

繊細さんは、業務の進行がどうやら遅く見られがちで、スピードを求められるマルチタスクが苦手な傾向にあります。
たとえ、マルチタスクに優先順位がつけられたとしても、繊細さんは「全てのタスクが大事」と考える傾向にあるのです。
マルチタスクがあることにより意気消沈してしまう繊細さんは、対策として「タスクを1つずつ進める」と意識すると良いでしょう。
『繊細さん』は仲間を見つけよう

「繊細さん」の本
繊細さんは「5人に1人しかいない」ではなく「5人に1人もいる」と考えましょう。
繊細さんが仲間を見つける方法(2種類)
- 見つけに行く
- 見つけてもらう
見つけに行く
繊細さんが好む店やイベントなどに行くことです。
繊細さんが好む場所は、繊細さんにとって優しい場所となります。
五感の鋭い繊細さんが好む場所には、「良い景色」「良い匂い」「良い音楽」が提供されている可能性が高いです。そうした場所に繊細さんは自然と集まる傾向があります。
「ヨガ教室」「薬膳料理のお店」「哲学カフェ」など
見つけてもらう
たとえばネットやSNSなどで、自分の好きなものを発信すると、他の繊細さんと好きなタイプが合致することがあります。
出会った人たちと過ごすと、気がラクになったり、繊細さんならではの会話も生まれやすいでしょうね。
繊細さんの悩み解決まとめ集「繊細さんの知恵袋」
» 「繊細さん」の知恵袋【要約まとめ】「繊細さん」の本
「人は自分のままでいられたら元気になれる」
心理カウンセラー武田友紀さんの優しい言葉に勇気づけられる「繊細さん」の本でした。
「繊細さんの本」では、他にも「ストレスを防ぐワザ」や「ラクになれる基本」、「肩の力を抜いて働くワザ」「自分を活かすワザ」などが紹介されています。
それでは最後に、「繊細さん」の本の要約まとめです。
- 人といると疲れやすい
- 他人の雑さが気になる
- 周囲に機嫌の悪い人がいると緊張する
- 気遣いしすぎて仕事に時間がかかる
- 知的好奇心が高い
- 誘いや頼み事を断っていい
- 苦手な人やモノを嫌っていい
- なぜ機嫌が悪いかを確認していい
- 助けるときは、いったん待つ
- ちょっとしたことでも頼っていい
- めんどうな人やコトから逃げていい
繊細な人にも衝撃を与えた書籍「繊細さんの本」を紹介しました
「繊細さん」の本(続き)