2017年3月に出版された西野精治さん著作「スタンフォード式 最高の睡眠」。
発行部数は30万部を突破。(2020/4)
「最高の睡眠」が出版されることによって、世間では「睡眠負債」「黄金の90分」といった言葉が広まりました。

睡眠の研究結果は60年前と、わりと最近に見られます。
1953年 | 「レム睡眠」が発見される |
1963年 | スタンフォード大学に睡眠研究所を設置 |
著者の「西野精治」さんは、スタンフォード大学(睡眠研究所)の所長に就任され、翌々年にはスタンフォード大学精神科教授を務められる方。
そして、2019年には株式会社「ブレインスリープ」を設立しました。
良い睡眠を取るポイントは、「レム睡眠時に起きること」と「ノンレム睡眠の確保」にあります。
いわゆる、「浅い眠りの時間に起床すること」と「熟睡時間の確保」です。
それでは、睡眠の基礎をおさえ、「最高の睡眠」から役立つポイントを見ていきましょう。
「レム睡眠」「ノンレム睡眠」をカンタンにおさらい
まず始めに、レム睡眠とノンレム睡眠をおさらいしましょう。
レム睡眠とは、目を閉じて眠っている間に眼球が動く、浅い眠りの状態を指します。
(「急速眼球運動睡眠」とも呼ばれる。※REM=Rapid Eye Movement)
一方でノンレム睡眠とは、脳も体も眠っている睡眠の状態を指します。(いわゆる熟睡の状態)
そして睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に行われます。
日本人は世界一「睡眠偏差値」が低い


平均睡眠時間を世界と日本で比較した結果の一部です。
(国名) | (睡眠時間) |
フランス | 8.7時間 |
アメリカ | 7.5時間 |
日本 | 6.5時間 |
日本人は睡眠6時間未満の人が40%を占めており、睡眠時間の短さが伺えます。
ここで疑問としては「睡眠時間は短くても良いのではないか」と浮かびます。
ショートスリーパー(短時間睡眠)は稀な遺伝
たしかに偉人の中には、睡眠時間の短いショートスリーパーがいます。
たとえば、エジソンやナポレオンは3時間、レオナルド・ダヴィンチは2時間です。
しかし、「ショートスリーパーはごく稀な遺伝だ」と著者は主張します。
つまり、心持ちや努力によって短時間睡眠は行えないのです。
むしろ、ショートスリーパーの遺伝を無しに短時間睡眠を行ってしまうと、体に負担がかかって「睡眠負債」の傾向になります。
睡眠負債
睡眠時間は取れなかった分、負債として体に負荷が溜まっていきます。

寝れなかった分、睡眠を取ればいいんじゃないの?

睡眠利子が大きいため、週末の睡眠程度では返済できないと著者は主張しています。
そして、睡眠負債が引き起こす症状として「肥満、糖尿病、高血圧、認知症」などが挙げられます。

【黄金の90分】(質を上げる睡眠時間)
短時間睡眠の解決策は、長く眠ることではありません。
「良い睡眠とは睡眠の質を上げることだ」と著者は主張します。
「最高の睡眠」によると、睡眠の質を上げる方法は「黄金の90分を掴むこと」です。
黄金の90分とは、一番初めのノンレム睡眠(熟睡)の時間です。

眠りに入ってから最初の90分が重要です。
黄金の90分では、体に良いメリットが様々に分泌されます。
- 成長ホルモン
- 免疫力
- 肌の保湿
- 記憶を定着させる
- 脳から老廃物を出す
最高の睡眠をとるためには?
「最高の睡眠」がもっとも主張したいことは「体温調整」です。
寝るときのポイントは、「体温を上げて下げる」ことにあります。
その理由は、「体の深部」と「皮膚の温度」のバランスが重要となるからです。
そして結論が、「体の深部を温めてから90分後に寝る」ことです。
その理由を見ていきましょう。
最高の睡眠への体温調整
「最高の睡眠」では、寝る前の体温調整があります。
「湯船に浸かるなどで体の深部が温まることを15分。これを寝る90分前に行う」
「寝る90分前に体の深部を15分温める」
(湯船に15分浸かるなど)
15分は体の深部が温まる時間となり、寝る90分前は温まった体温が下がる時間です。
(時間がないときはシャワーや足湯でも良いですが、湯船より温まりにくいようです)
睡眠時に体温が下がる
最高の睡眠のポイントは「体温を上げて下げる」こと。
体温を上げる方法の次は体温を下げることですが、これは体が自動的に働きます。
人間は睡眠に入るとき、体の温度を下げるために手足から体温を放散するようになっているのです。

眠たいとき手足が温かくなる原因ですね!


ここで就寝時の注意事項があります。
就寝時の注意事項
- 靴下を履いて寝てはいけない(手足からの体温放出を妨げる)
- 寝る前に脳を使ってはいけない
×靴下を履いて寝てはいけない
手足からの体温放出を妨げることになります。
×寝る前に脳を使ってはいけない
人は活動中に交感神経が活発になり、リラックスしたいときに副交感神経が働きます。
寝るときは副交感神経が重要なため、寝る前に脳を使うのはよくありません。
スタンフォード式「最高の睡眠」【アラームのかけ方】


90分倍数説といったものが一時期流行しましたが、個人差が大きいため有用かどうかは疑問です。
(90分間隔なら目覚めがいいという起き方)
そこで、スタンフォード式「最高の睡眠」によるアラームのかけ方があります。
「最高の睡眠」レム睡眠のときに起きられるアラーム
就寝時レム睡眠とノンレム睡眠が交互に切り替わるなか、レム睡眠(浅い眠り)のときに起床すると目覚めが良いそうです。
どうやらレム睡眠とノンレム睡眠は、就寝時間が後半になると20分毎に切り替わるようです。
その20分を利用して、レム睡眠のときに起きられるようにアラームを設定します。
- 1回目のアラームは小さい音量で短くかける
- 2回目のアラームを20分後に設定し、しっかりした音量でかける
1回目のアラームは小さい音量で短くかける
小さい音でも、レム睡眠(浅い眠り)なら起きられると著者は主張します。
このとき、自身がレム睡眠なら起きられるため、目覚め良く起きられます。
ノンレム睡眠だと就寝中になりますが、2回目のアラームがなります。
2回目のアラームはしっかりした音量でかける
2回目のアラームは20分後に設定し、しっかりした音量でかかるようにします。
1回目のアラームでノンレム睡眠でしたが、20分が経過したためレム睡眠に切り替わっている傾向にあります。よって、レム睡眠の状態で起きられるのです。
この方法によって確実にレム睡眠で目覚めよく起きられることになります。
ちなみに1回目のアラームの理由は、ノンレム睡眠で起きることによる体への負荷をかからないようにするためです。
なお、1回目のアラーム設定ではスヌーズが鳴らないようにしましょう。2回目のアラームまでに鳴ってしまうとノンレムからレムに切り替わる(20分)までに起きてしまいます。
最高の睡眠のためのルーティン
- 朝起きたら軽い運動をして体温を上げる
- 就寝時間と起床時間を決める
- 寝る前の行動を固定化する(作業や仕事、考え事、光に当たることを禁止)
眠るときに光に当たることは良くありませんが、起きるときには良いです。
とくに大事な光が「日光」です。
日光を浴びるとメラトニンが分泌され、体内時計が地球の時計と合うようになります。
人間の体内時計が「24.2時間」であるため、日光を浴びないと0.2時間ずつ体内時計がズレるのだそうです。
汗だくになるほどの過度な運動は控えて、手足から熱がなるべく放出されるように気を配ると良いです。
その後は冷たい水で手洗いし、朝シャワーを浴びると良いでしょう。


【要約まとめ】「スタンフォード式|最高の睡眠」
睡眠のポイントは「体温調整」にありました。
著者の主張には、スタンフォード大学で研究しているうち周囲の仲間たちも含めて、「きっちり寝ている人ほど成功している」とあります。
最高の睡眠をとってカラダの免疫力や成長ホルモンなどがしっかり整えられると、日々のパフォーマンス向上に繋がりそうですね!
マンガ版

マンガでぐっすり!
スタンフォード式 最高の睡眠
それでは最後に、「最高の睡眠」の要約まとめです。
- 成長ホルモン
- 免疫力
- 肌の保湿
- 記憶を定着させる
- 脳から老廃物を出す
「寝る90分前に体の深部を15分温める」
(湯船に15分浸かるなど)
- 靴下を履いて寝てはいけない(手足からの体温放出を妨げる)
- 寝る前に脳を使ってはいけない
- 1回目のアラームは小さい音量で短くかける
- 2回目のアラームを20分後に設定し、しっかりした音量でかける
- 朝起きたら軽い運動をして体温を上げる
- 就寝時間と起床時間を決める
- 寝る前の行動を固定化する(作業や仕事、考え事、光に当たることを禁止)