全国200万部、世界440万部を突破した書籍「嫌われる勇気」。
(著者:岸見一郎、古賀史健)
アドラー心理学への入門編とも言われ、対話篇による読みやすさが定評です。
(アドラー心理学とは?)
心理学者アルフレッド・アドラーによる、「現代人を幸福にする」と評された心理学です。
「嫌われる勇気」が好評な理由は、多くの人が次の疑問を抱いていることです。
「人は変われるだろうか?」
「世界は複雑じゃないの?」
「誰もが幸福ってありえるの?」
そして、これらの疑問に「嫌われる勇気」は答えており、さらには対話形式で展開しているため、読みやすく共感しやすい作品と好評なのです。
» 嫌われる勇気「嫌われる勇気」のポイントは、「幸福に生きるための考え方」です。
- 人は変われる
- 世界はシンプル
- 誰もが幸福になれる
それでは、「嫌われる勇気」の要約ポイント「幸福に生きるための考え方」をそれぞれ見ていきましょう。
「人は変われる」(なぜか?)

「嫌われる勇気」が「人は変われる」と言える理由は次の2つです。
- 「人はトラウマ、怒り、劣等感を道具として利用しているから」
- 「怒りはコントロールできるから」
(これらを使ってしまう理由は、「自分を演出するため」や「言い訳を正当化するため」が挙げられます)
つまりヒトが、都合よく利用しているものなので、自分自身で変えることができます。
人はトラウマを道具として利用している

「人はトラウマや怒り、劣等感を道具として利用している」とアドラーは主張します。
たとえば、赤面症を抱える人との会話があります。

「すぐ緊張して顔が赤くなるので、好きな人に思いを伝えられない」

「それは赤面症を理由にして、思いを伝えられない状態を自分で作っているだけなのだよ」
「ヒトはコンプレックスを言い訳にして、行動しない理由を作る」と、アドラーの主張があります。
「怒り」はコントロールできる

その1「飲食店の例」
飲食店で利用者のシャツに水がかかってしまったとき、怒りをコントロールする例があります。

どうしてくれるのだ。弁償してほしい

今あなたは怒っていますが、怒りはコントロールできないものでしょうか?

怒りはコントロールできないでしょう。
こうして私は口に出しているのだ

では、あなたがナイフを持っていたらその店員を刺していましたか?

いや・・・。ナイフで刺すまでは行わないかな

コントロール出来ているではありませんか
その2「電話の例」

大喧嘩の途中で別れた後、家の電話が鳴りました。
てっきり喧嘩相手だと思い、怒りの態度で電話に出ますが相手は別の人でした。
このとき、とっさに声を落ち着かせて、電話の対応をしました。
以上の例から、怒りはコントロールできることがわかります。
「世界はシンプル」(なぜか?)

「嫌われる勇気」によって、「世界はシンプル」と言える理由は次の2つです。
- 全ての悩みは対人関係
- 褒められようとしてはいけない
- たいていが自分の課題ではない
全ての悩みは対人関係
自分の行動の結果は、「自分のためになるか」「人のためになるか」を区別します。
人のパーソナルスペースに介入したり、土足で入るのは良くないことがアドラーの主張です。
褒められようとしてはいけない

「嫌われる勇気」では、禁止事項があります。
- × 褒められようとすること
- × 褒めること
- × 度がすぎる競争は良くない
褒められようとしなくて良い
「出来たら褒める」「出来なかったら褒めない」といった賞罰教育は、褒められないと何もしない精神を生んでしまいます。
「近所の掃除をしていたが、誰からも褒められないのでやめた」といった、褒めてくれるから何かをする考え方は、自分の行動を他人に決めさせていることになります。
つまり、自由な状態でなくなるので褒められようとしなくて良いのです。
褒めることも良くない
褒めることは能力の上の人間が、下の人間に行う評価とされます。そもそも能力の上の人間が、下の人間に対しても行うものではありません。
褒めることは相手に対して、「自分はそのヒトより下なんだ」と潜在的に思わせる行為となるのです。
度がすぎる競争は良くない
著者アドラーは『度がすぎる競争』には注意を促しています。

「競って勝たないと、自分にはまるで価値がない」
そのようなことは思わなくて良い。
感謝する横の関係を築く

人間関係において、相手を褒めることは縦の関係を生んでしまいます。
しかし、縦の関係ではなく、横の関係になることをアドラーは推奨しています。
縦の関係が褒めることに対して、横の関係は感謝です。
褒めるから感謝へ変えることによって、誰かの評価で自分の行動が規制されない自由な状態になります。
「褒めてくれるから行動する」「行動してくれたから褒める」といった縦の関係から解放されるのです。
» 嫌われる勇気たいていが自分の課題ではない
「嫌われるのはイヤだ」と思う人にアドラーは言います。

「自分の行動で相手が嫌うかは、自分が決められることではない」
たとえば、「大食い」です。
「ものすごく食べるね」と見る人もいれば、「ご飯にがっついて可愛い」と見る人もいます。
自分がどう見られようと相手側の問題なので、自分の課題ではないのです。
「誰もが幸福になれる」(なぜ?)

アドラーによると、幸福とは「共同体感覚を持つこと」だと主張しています。
共同体感覚とは「他の人に貢献できている感覚」のことです。
誰もが幸福になれる理由は、他の人に貢献できている感覚を誰もが持てるからです。
他の人に貢献している「共同体感覚」が幸せ

アドラーによると、幸せは共同体感覚によって得られます。
たとえばお金持ちの人であっても、幸せであるかどうかは「他者に貢献できている感覚があるか」によるのです。
- 「自己受容」
- 「他者信頼」
- 「他者貢献」
「自己受容」
自分自身の良い所と良くないと思う所を、そのまま受け入れます。出来ない所から受け入れると良いです。
ありのまま自身を受け入れると、「自分は〜が出来ないからどう対応をしようか」と考えることができます。

自己受容は自分の「行為」よりも、なるべく自分の「存在」を自己受容することが望ましい。
家族を養うために、…自分はお金だけ稼げばいいのだろう
自分が家庭にいることで、家族は幸せだと思ってくれるだろう◎
「他者信頼」
他者貢献するには、他者を信頼して「仲間」と思うことが大切です。
見返りを求めるのではなく、無条件で他者を信頼することです。
信頼:無条件で信じること
信用:条件付きで信じること
たとえば、道端で困っている人を手助けするとき、無条件の「信頼」があって行動できていることになります。

相手はこちらが「信頼しているか」「信頼していないか」をみている。
それなら、まず信頼することだ。
相手が裏切るか裏切らないかは相手側の問題で、自分の問題ではない。
他者信頼ができると次に「他者貢献」ができるようになります。
「他者貢献」
他者に貢献することは、自分自身に幸せをもたらします。

「他者に貢献できている感覚」さえあれば、そのとき人生の幸福にたどり着いている。
「アドラーの心理学を学んだとき誰もが幸せになれる」と言われる由縁です。
(ちなみに自分が「自由」を選んだとしても、他者に貢献しているという思いを持ち続けると、自分の道を見失わずに進むことができると言われます)
【まとめ】
「嫌われる勇気」の要約まとめです。
(青字タップで項目へ)
- 人は変われる
- 世界はシンプル
- 誰もが幸福になれる
- 「人はトラウマ、怒り、劣等感を道具として利用している」
- 「怒りはコントロールできる」
- 全ての悩みは対人関係
- (褒められようとしてはいけない)
- たいていが自分の課題ではない
共同体感覚が幸福であるため、貢献する感覚によって誰もが幸福になれる
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
「アドラー心理学を学んだとき誰もが幸せになれる」
この言葉は多くのアドラー本で紹介されていますが、「共同体感覚」を指していることが分かりますね。
誰もが幸せになれるアドラー心理学「嫌われる勇気」でした。